モーラー奏法は、腕全体のねじり、回転を利用します。
ここでは、特徴をまとめておきましょう。

グリップ

モーラー奏法の特徴として、まずグリップがあげられます。
モーラーブックから写真を引用して説明しますね。

右手

右手のグリップです。
right_hand_s.jpg

国内の多くの教則本の内容と根本的に違う点に気づきましたか?
それは、親指と人差し指が離れている点です。

この写真には、次のような解説がついています。

スティックは、ほぼ小指だけで握る。
スティックがドラムに当たるときは他の指をごく軽く、
スティックに触れるだけという程度に閉じる。
これは一番パワフルで安全なグリップだが、
硬くなく、解剖学的に正しく、
腕を楽に上げることができ、緊張や疲労を防ぐことができる。

マッチドグリップに関しては、これが基本になります。

国内の多くの教則本では「親指と人差し指で支点を作る」
となっていますが、まったく違いますね。

親指と人差し指で支点を作る方法では
遠心力でスティックが前に飛ぼうとするので、
それを抑えるために握りこむ必要があります。

結果、親指の付け根が必ず疲れてしまいますし、
サステインも短くなってしまいます。

スティックを握りこまないというのがポイントです。

モーラーブックには「小指でしっかり握る」と書かれていますが、
「動きを自然にし、スピードを上げるには脱力すること」とも書かれています。
また、速さによるストロークの変化にも触れており、
テンポが上がるほど動きがコンパクトになることが読み取れます。

左手

左手のグリップ(レギュラー)です。(⇒写真)
上が良い例、下が悪い例です。どこが違いますか?
left_hand_s.jpg

下は、指が曲がってスティックを握りこんでいます。
上は、人差し指以外が伸びています。

右手と同じで、スティックを握りこんではいけないということですね。

上記で紹介したグリップは、スネアしかなかった1920年代のものです。
モーラー奏法を理解するための第一歩だと思ってください。
ドラムセットの出現により、現在ではさまざまな形に発展していると考えるべきでしょう。

回転

モーラー奏法でいちばん特徴的な動きが、「回転」です。

モーラー奏法では、腕より先に肩が動きます。
結果、腕が回転するような動きになります。
筋力を使わず、腕の重みと前腕・上腕の動きを利用するためには、こうなります。

実際の演奏では、見た目にわかるほど回転させることはあまりありません。
しかし、腕より先に肩が動くという順序は変わりません。

手に入りやすいところで

  • バディ・リッチ
  • ヴィニー・カリウタ
  • デイヴ・ウェックル
  • デニス・チェンバース

などの映像を確認してみてください。

アクセントやタム移動のとき、腕より先に、肩が動いているはずです。

脱力と、その先にあるもの

脱力しないとうまくできない、というのもモーラー奏法の特徴の一つです。

モーラー奏法を発展させているドラマーは、
意識で力を入れることができる筋肉(屈筋)はほとんど使っていません。
そのかわり、日常で無意識に使っている強い筋肉(伸筋)を、実は多用しています。
正確にいうと、伸筋のはたらきを「感じて」います。

人間はただ立っているだけでも、相当な重さを支えるだけの強力な筋肉が
無意識のうちに、身体のあちこちで働いています。
無意識に働いている筋肉を活かすことを考え、感じることがとても重要です。

ドラムを叩くのに、筋トレ的な練習は必要ありません。
また、「どこそこの筋肉を使うんだ」という意識も必要ありません。
(しいて言えば、インナーマッスルは重要ですが)

邪魔な力が入っている部分を自覚し、その力を抜く練習が大切です。