J-POPのサポートをやっていた20代の頃。ある現場で、ビートルズとかビリー・ジョエルのようなアメリカのポップスを参考音源として渡されて、よく聞いておけと言われたことがありました。

僕は張り切ってそれらを聴き込んでいったのですが、いざ現場に出てみると・・・なんだか、リズムが合わない。

確かにビートルズやビリー・ジョエルを真似たような楽曲なのに、バンドの楽器編成も同じなのに、とにかく合わない。

スネアが重いとか軽いとか、もっと前とか後ろとか言われて、決して解決することのない泥沼にハマり・・・最終的には、バンドをクビになってしまいました。

自分なりにベストを尽くしたつもりなのに、かっこいいと感じることをやればやるほど裏目に出る。当時は自分の感性を全否定されているようで、生きた心地がしませんでしたね・・・。

いま思い出しても悔しい思い出話です。

その後ドラムを教えるようになり、いろんなドラマーさんの話を聞くようになって、多くの人が僕と同じように「ノリが合わない」という経験をしているということがわかりました(ドラマーに限った話ではないということもわかったのですが、その話はまた別の機会に)。

バンドの中でハシり・モタりを指摘されるドラマーは、とても多いです。でも実際にバンド全体の録音を聴かせてもらうと、ドラムだけの問題じゃないケースが非常に多いんです。

回避策として「メトロノームのように機械的な4分音符を打ち出す」という方法が歓迎される現場もありますが・・・そんなことばかりしていてはリズムが死んでしまいますよね。

解決策はメトロノームではなく、バンドメンバーがリズムの取り方を揃えること。これに尽きます。

リズムには色々な取り方があって、音楽や相手に合わせて「スイッチ」する能力が必要なんです。

実はJ-POPって、リズムの「ルーツ」が曖昧なんですよ。アメリカのサウンドを真似したはずが、リズムだけは日本式のままで、まるで和太鼓とか民謡みたいなリズムのままで、サウンドだけを真似しているケースがほとんどなんですね。

J-POPを演奏している人たちは、ことリズムに関しては、お手本としているものがあまりにもバラバラで、混乱が生じているんです。だから、共演者に合わせて「スイッチ」する能力がみんなに必要なんです。

歌謡曲を遡って聴いてみると、1960年代の坂本九やザ・ピーナッツくらいまではスイッチ能力があったようです。でも、それ以降はすっかりなくなってしまいました。

今はインターネットで、世界中の音楽が簡単に聴けます。

そんな時代にあって、J-POPのリズムはどうなっているのか?
みんなできちんと把握して、リズムで悩む人がいなくなればいいなと思っています。

幸い僕は多くの人の協力を得て、このへんのことを明確に説明し、ドラムの奏法にまで落とし込んで伝えられるようになりました。リズムやノリで悩んでいる人は気軽に相談してください。

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