上手な人のように脱力したい。自分と何が違うんだろう?

グリップやフォームなど、上手な人と同じようにしているはずなのに、根本的に何かが違う・・・。今回は、そんなお悩みをお持ちの方に向けての記事です。

僕も20代の頃は脱力が苦手で、音色が平坦だったり、音量を上げると抜けが悪くなったりすることが悩みでした。プレイヤーとしてプロでやっていきたかった僕は一念発起してK’s musicに入校。喜納昌也先生、小野瀬健資先生に3年半師事してモーラー奏法を学びました。

また整体を学び、「身体は食べたもので出来ている」という考えから分子栄養学の資格も取りました。(僕は2017年からちらの認定アドバイザーです)

今回はそんな僕の経験から、脱力が苦手な人に向けてのアドバイスをお伝えします。少しドラムと離れた話題になりますが参考にしてみてください。

脱力の上手さを決めるのは「自律神経」


(出典)https://www.tsudashonika.com/od/

 

脱力には「自律神経」が最も重要である。
これが、現時点での僕の結論です。

自律神経とは

・血液の循環
・食べ物の消化
・呼吸

などを調整するために、24時間休みなく働き続けている神経のこと。活動時に活発になる「交感神経」と、安静時に活発になる「副交感神経」が交互に働いてバランスを取っています。

脱力が苦手な人の腕を持たせてもらうとスティックを持つ前から筋肉が固くなっていることが多いのですが、これは「交感神経」が優位で、身体が緊張状態にあることを示しています。

このような場合「副交感神経」が優位にならなければ、いくらフォームやグリップの練習を重ねても脱力は難しいんですね・・・。

自律神経のバランスを整えるには?

それでは、自律神経のバランスを整えるためにはどのようなことを意識すれば良いのでしょうか?僕自身が意識している5つのポイントをお伝えします。

<自律神経を整えるための5つのポイント>
1.呼吸
2.栄養とホルモンバランス
3.適度な運動
4.睡眠とストレス管理
5.炎症の治療

以下、詳しく見ていきましょう。

1.呼吸

自律神経のバランスは呼吸と連動しています。呼吸が浅い人は交感神経が優位になりやすく、緊張が続きやすい傾向があるのですね。

  • 時間あたりの呼吸の回数が多い
  • 息を吸った時に肩や首が緊張する
  • 呼吸とともにお腹や背中が動く感覚がわからない

上記に当てはまる人は呼吸が浅く、脱力が難しい状態になっている可能性があります。

レッスンでは整体施術を交えながら、無意識の呼吸運動を改善して脱力が容易になるように指導しています。呼吸をチェックする方法は前回の記事で解説していますので参考にしてください。

<参考>脱力が苦手な人は「呼吸の仕方」を見直そう

2.栄養とホルモンバランス

セロトニン

(出典)https://www.ohara-ch.co.jp/meitantei/vol01_1.html

自律神経はホルモンバランスにも影響されます。ホルモンとは、身体の機能を調整するために体内で作られる分泌物のことですね。自律神経に関わる代表的なものはノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン等です。

ここでは例として「セロトニン」についてみてみましょう。セロトニンは幸せホルモンと呼ばれ、不足すると自律神経のバランスが狂います。不眠、イライラ、慢性的な痛み、姿勢の悪さ、無機質な顔つき等もセロトニン不足の症状だと言われています。

セロトニンの材料は「トリプトファン」というアミノ酸。赤身肉やレバー、乳製品、カツオやマグロなどの青魚、筋子やたらこなどの魚卵、植物なら大豆、果物ならバナナなどに多く含まれるそうです。

食事から摂取したトリプトファンは、下記の経路でセロトニンに変化します。

(出典)http://stressnurse-healing.com/164.html

ここで注目したいのが、反応に必要なビタミン・ミネラルの数々。

ビタミン・・・B1、B3(ナイアシン)、B6、B9(葉酸)、ビタミンC。
ミネラル・・・鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム。

いくらトリプトファンを摂取しても、これらの栄養素がなければセロトニンは作れないのですね。

心身を調整するホルモンはセロトニン意外にもたくさんあり、それぞれが異なる栄養素、色々な種類のビタミンとミネラルを必要としています。ビタミン・ミネラルが足りないと、ホルモンバランスが狂ってしまうのです。

日本人はミネラル不足

中でもミネラルは、身体の中では一切作れません。食べ物から摂取が必要なのですが・・・

(出典)https://city.living.jp/common/karada/212973

平均的な日本人はミネラル不足なんですね。これは平成24年の厚生労働省のデータですが、令和になった今もほぼ同じ。アレルギーや精神の不調など、現代病と言われる様々な不調の背景に「ミネラルの欠乏」があることは間違いありません。

ミネラル欠乏は筋肉の緊張だけでなく、心身の様々な不調の原因になります。もしあなたの栄養状態が日本人の平均かそれ以下なら、ミネラル豊富な食生活に変えるだけで脱力がしやすくなる可能性は十分にあると考えます。

ミネラルを補うための食事とは?

ミネラルは自然界(海や土の中)に約80種類が存在しており、「多種類を満遍なく」かつ「吸収率が良い状態で」摂取するのが理想です。

オススメはあご、昆布、カツオなど、きちんとした出汁(ダシ)を使った味噌汁やスープを毎日の習慣にすること。一から出汁を取るのは大変ですが、粉末やパックを活用すれば難しくありません。

ちなみに「ほんだし」等は成分のほとんどが化学調味料なので、栄養補給には使えません。原材料が天然100%のものをオススメします。

また外食やコンビニ食、スーパーの惣菜などの多くは、調理や加工の過程で多くの栄養素が抜け落ちていることも重要な事実です。自分で包丁を握って自炊をするのが一番ですね。


(出典)食事でかかる新型栄養失調(三五館)

サプリメントは?

サプリメントも有効ですが、ミネラルに関しては市販のサプリメントの大半はバランスや吸収率が悪く、過剰摂取の心配もあるので注意が必要です。個人差があるので特定の商品の紹介はここでは出来ませんが、良いものは限られています。知りたい方は個人的に相談してください。

3.適度な運動

自律神経を整えるのに最も重要と考えられているセロトニンは、運動によって増やせるという研究が多数あります。中でも「リズム運動」が効果的で、歩く、走る、噛む、呼吸するなどが有効とのこと。もちろん、ドラムもリズム運動ですよね!

ちなみに、セロトニンの9割は腸で作られると言われています。運動するとおなかが動いて腸の動きが活発になることも、セロトニンを増やすことにつながりそうですね。

4.睡眠とストレス管理


(出典)http://pbm555.com/blog555/9428

セロトニンは夜になるとメラトニンに変わり、睡眠を誘発します。睡眠の質もまた自律神経と深く関わっています。

睡眠の質を上げるには、昼間のうちにセロトニンをしっかり作ること。日光を浴びる、スキンシップをする、意識的に長い呼吸をする、質の良いラベンダーの精油を使う等が、セロトニンを増やすのに効果的だそうです。夜に活動的になるミュージシャンこそ意識しておきたい部分ですね。

また、ストレスはミネラル・ビタミンの栄養素を消費してしまいます。副腎という臓器が抗ストレスホルモン(コルチゾール)を作るために、ミネラル・ビタミンを必要とするためです。ストレスのレベルが高い人は、それだけでミネラル・ビタミン欠乏になりやすいのですね・・・。

ストレスがかかりすぎると「副腎疲労」という状態になってしまうこともあります。疲れやすい、何もやる気が出ない状態まで行ってしまった人は、長期的に心身を休めることも大切だと思います。

ストレスを発散するにはドラムはもちろん、温泉につかる、運動をする、マインドフルネスを行う等、出来ることはたくさんあります。日頃から「楽な姿勢・動き」を意識することも有効ですね。

5.炎症の治療


(出典)https://vitaminj.tokyo/archives/5475

セロトニンはトリプトファンから作られますが、身体のどこかに炎症があると上手く作れなくなってしまいます。セロトニンの代わりに、毒性のあるキヌレニン酸・キノリン酸といった毒性のある物質になってしまうのです。

鼻炎や腸炎など、外から見てもわからない慢性的な炎症を持っている人は実は少なくありません。適切な治療を受けて炎症を治すことができれば、それだけで自律神経が整い、脱力がスムーズに出来るようになる可能性もあるのです。

僕の場合は小学生の頃から喘息やアレルギー性鼻炎があり、2015年頃まで定期的に耳鼻科で抗生物質を処方されていましたが、栄養の改善とエッセンシャルオイルを使ったケアを続けた結果、今はすっかり良くなりました。

炎症については本当に奥が深いので、機会があればあらためて書きたいと思います。

まとめ

今回は自律神経をテーマに、脱力に関わる5つのポイントをご紹介しました。随分ドラムと離れた話題になってしまいましたが、「身体のこと」は大切です。自律神経の乱れを感じる方はぜひ参考にしていただければ幸いです。

食事で出来る対策をもっと詳しく知りたい方には、こちらの書籍がオススメです。