こんにちは、山北です。
今回はどうしても脱力できない、力みが取れないとお悩みの方に向けて、力を抜くための本質的なコツをお伝えします。
そのコツとは・・・呼吸。
呼吸の仕方は身体の動きに大きな影響を与えます。実はこれが意外な盲点になっていて、呼吸の仕方を変えるだけで上達が一気に加速する人が少なくないのです。
たくさん練習しているのにも関わらず、なかなか力が抜けない人は参考にしてみてください。
呼吸の仕方を見直してみよう
まず、自分の呼吸が適切なやり方でできているかをチェックしてみましょう。
呼吸のチェック
やり方は簡単。深呼吸をするだけです。
できれば鏡の前で、肩や胸の動きを観察できるとベターですね。
息を吸った時、身体の前側と後ろ側、どちらがたくさん膨らみますか?
また、息を吸った時の肩の上がり具合も観察してみましょう。
胸やおなかなど、前側だけが多く膨らむ人
前側だけが膨らむ人は、息が上手く吸えていない可能性大です。
いわゆるラジオ体操の深呼吸ですね。
実はこの吸い方は、脱力の妨げになるんです。
背中や腰など、後ろ側が多く膨らむ人
前側だけでなく、後ろ側も満遍なく膨らむ人はOK!
この吸い方が出来ていれば、呼吸が脱力の妨げになっている可能性は低いです。
もしそれでも脱力が難しいとしたら、他の原因を考えましょう。
息を吸った時に肩が上がる人
この場合も、修正が必要です。
以上で、呼吸の仕方がチェックできました。次に呼吸の仕方を改善し、ドラム演奏に適した脱力しやすい呼吸法をマスターするための手順をご紹介します。
脱力しやすい呼吸法をマスターしよう
脱力しやすい呼吸法は、肋骨の全体が満遍なく膨らんだり、しぼんだりする動きになります。息を吸った時に胸やおなかだけでなく、背中や腰も膨らむ感覚がわかれば、理想的な呼吸法に近づくことができます。
以下に、脱力しやすい呼吸法をマスターするための手順を示します。
1.リラックスして椅子に座り、ダラリと前かがみになる
前かがみになることで、背中に息が入る感覚がわかりやすくなります。
2.顔をできるだけ上に向ける
顔を上に向けることで首の後ろ側がロックされ、肩の動きを抑えることが出来ます。
3.息を大きく吸い、背中が膨らむのを感じる
肩の動きがロックされている分、かわりに背中や腰がふくらみます。息を吸い込む時のふくらみを感じてみましょう。
4.息を吸うたびに身体を少しずつ起こし、数回の呼吸で通常の姿勢に戻す
背中がふくらむ力で自然に上体を起こしていきます。数回の呼吸で、通常の姿勢まで戻しましょう。
このようにすれば「背中で息をする」感覚をつかむことができます。またドラム演奏に適した動きやすい、自然な姿勢を確認することも出来ます。以外に、胸は張らない方が良いということも分かるでしょう。
↑背中で息をしているトップドラマー達
なぜ呼吸法が大切なのか?
なぜ、脱力には呼吸法が大切なのか?
なぜ、背中に息が入る呼吸法で脱力しやすくなるのか?
解剖学的な根拠を示しますね。
呼吸筋と呼吸補助筋
呼吸に絶対必要な筋肉を「呼吸筋」といいます。
呼吸筋は、基本的に肋間筋と横隔膜のみ。
肺が収縮するには「肋骨」さえ動けば良いわけですから、シンプルです。
ところが、急速に酸素を取り入れる必要がある場面では、呼吸筋だけでは間に合わないことがあります。そこで登場するのが、首や肩周りの「呼吸補助筋」です。
しかし、これはあくまでもスポーツや緊張した時など、急激な呼吸が必要な時のみに発動すべきもので、平常時は必要のないものです。
深呼吸で肩が上がってしまう人は、普段からこれら「肩を上げる」「首をすくめる」筋肉も使って呼吸をしている可能性が高いのですね。
肩の力を抜きましょう(^^)
呼吸補助筋がいつも働いている人は「息を吸うたびに肩や首が緊張する」という状態。これはドラムの演奏には非常に不利なんです。何しろ、息をするたびに腕の動きが制限されてしまうわけですから・・・。
呼吸補助筋に頼らず、本来の呼吸筋のみで息が出来るようにすれば、肩や首が緊張することはありません。わかりやすく言うと「肩の力を抜きましょう」ということなんですが、呼吸の仕方がおかしいとそれも不可能である、ということなんです。
もう一点、呼吸が浅いと副交感神経が働きにくくなるという点も重要です。自律神経と脱力の関係については、またあらためて書きますね。
まとめ
以上、呼吸の仕方によって腕が動きにくくなるメカニズムと、その対処法をご紹介しました。
背中で呼吸をするエクササイズはDVDでも詳しく解説しています。グリップやストロークなど、ドラミングにすぐに役立つ奏法解説とあわせて学びたい方は参考にしてみてください。レッスン一回分+交通費くらいの価格で1年分のおさらいができますので、過去に僕のレッスンを受けたことがある方も是非どうぞ。