こんにちは、山北です。
今回は日本人のリズム感について考察します。
リズムに自信がない人、特にジャズや洋楽のリズムにコンプレックスがある人にぜひ読んでほしいと思います。
日本人のリズムは強い!
まず大前提として、日本にはとても強い「拍」の感覚があります。この拍の強さを音楽に合わせてアレンジできるかどうかが、リズムの良し悪しを決定する要素になっています。
たとえば「一丁締め」というのがありますね。
宴会の最後に「よーオッ、ポン」と手拍子を一発やるアレです。
音頭をとる人さえしっかりしていれば、おそらく日本中どこの地域でもピッタリ揃う。一発の手拍子が打ち合わせも何もなく、何百人いようと必ず揃うというのは凄いことだと思うんですね。
阿吽の呼吸。
間。
一拍の安定感。
そういったことが文化的に共有されている。
まずは、自分にもそういう強いリズム感があるんだということを認め、確信するところから始めたいと思うのです。
なぜなら、実はこの一拍の安定感こそが世界に通用するリズム感の源だから。そのことを説明するために、「バックビート」という概念についてお話します。
バック=裏ではない!バックビートの誤解
ジャズやファンク等でよく語られる「バックビート」という言葉。
言葉のニュアンスからなんとなく「裏拍」という意味だと思っている人が多いと思うんですが・・・
アメリカ南部、ニューオーリンズで16年活動されていたギタリストの松村敬史さんから言葉の由来を教えていただき、目からウロコが落ちました。
たまに語学的な誤解で勘違いしている人達が……バックビートのバックは後ろと言うことではありません。
I got your back(お前の支えになってやるさ)のバックです。背中のバックで、支えと言う意味に直結します。アフタービートと言う軽い解釈の和製音楽用語ではありません。
— Takashi Matsumura (@DanjouMatsumura) May 15, 2019
なんと。バックは「裏」ではなく「背中」だったんです!
つまり「相手の背中を支えてあげるビート」というのが本当の意味であると。俺に背中を預けろ!と。恥ずかしながら、僕はもう何十年も誤解していました・・・。
一拍目でも「バックビート」!?
さて、ここでもう一度「一丁締め」に戻ります。
「よーオッ、ポン!」
どうでしょう?「ポン!」のところで地に足がつき、この上ない安定感がありますよね。つまり、ここがバックビートです。
ところが・・・あれ?これって一拍目じゃない?
一拍目なのに「バックビート」?
そうなんです。
バックビートが一拍目に来るのが、日本的なリズムの傾向なんです。
なんだかややこしくなってきましたが・・・^^;
リズム感が悪いと感じる多くのケースは、重心の位置が違うだけ
それに対して洋楽、特にアメリカの音楽では2拍目がバックビートになるものが多い。地に足がついて安定するのが、2拍目になる。
ここが理解できるかどうかが、日本人がリズム感のコンプレックスを克服できるかどうかの分かれ目なんですね。
逆に言うと、バックビートを2拍目に持ってくることさえ出来れば、日本人も簡単に洋楽のリズムがマスター出来るんです!
これは事実です。
ここでひとつ動画をご覧ください。ドラム歴30年以上の生徒さんがリズムの取り方を変え、その場でグルーヴが変化した例です。
いかがでしょうか?Beforeでは全体的にモタリ気味だったのが、Afterではスッキリしたのがお分かりいただけるでしょうか?
やったことはただ一つ。重心を落とすのが一拍目になっていたのを、二拍目にずらしただけです。本当に、捉え方一つでここまで変わるので、皆さんにも希望を持っていただきたいと強く思います。
自分のリズムの強さを確信しよう。
音楽の土台となるリズムの強さは「一丁締め」を合わせられる人なら全員が持っています。そしてこれらは全て、メトロノームを使う以前の話。ドラム歴も、楽器のテクニックも関係ありません(脱力は深く関係していますが)。
いろんなタイプの音楽に合わせて手拍子をしながら、皆さんも是非研究してみてください。