僕のレッスンには「セカンドオピニオン」を求める生徒さんが多くいらっしゃいます。

生徒さんがすでに他の先生について習っていて、身体の使い方についてより詳しいアドバイスを求めてこられるケースですね。

そんな時、指導者として肝に銘じていることがあります。それは

他の先生を絶対に悪く言わないこと。

これ、本当に大事だと思っています。

特に学校のブラスバンド部や合唱部など、集団生活の中で音楽を習っている生徒の場合。

多くの場合、他の先生は「解剖生理学的に正しいこと」とか「繊細な音色やニュアンスの違いのバイオメカニクスからみた説明」とかはなかなか出来ていないケースがほとんど。

だからこそ、生徒さんは僕のところに習いに来てくれているわけですが・・・

そういう時に、こちらがちょっと知識や経験があるからといって「そういう時は身体のここの部分をこうして・・・」

とか

「大きな音(声)っていうのは、力を抜いた方が出るんですよ。たとえばここをこうすれば・・・」

といった指導をするのは、あまり良い結果にならないことが多いんです。

なぜか?

先生の言っていたことは間違いだった!というジャッジが生まれると、練習への意欲そのものが減ってしまうことがあるからなんですね。

先生も一生懸命やっていて、多くの場合、時間をかけて生徒との信頼関係を築いています。

それを短時間で否定すると、予期せぬ問題が色々と起こることが多いんです。

先生を否定すると、まず生徒が不安になりますね。今までしてきたことを否定されたと感じ、意欲をなくしてしまう。

また何より問題なのは、先生をバカにする態度が身についてしまうかもしれないということです。

一度そういう態度が身についてしまうと、後々の学びを素直に消化することが出来なくなるかもしれません。(なんでも鵜呑みにするよりは良いのかもしれませんが・・・素直さは諸刃の剣)

ともかく教える側は、誰もが一生懸命やっている。そこの部分を大前提として認めることが大切だと思うのです。

良い結果が出ていないのは、情報格差や思い込みがあるのが原因。修正する方法はいくらでもあります。

そんなことよりも、生徒が「先生」という存在を信じている気持ちを、僕は大切にしたいと考えています。