「重み」を使う

腕の重さ

腕の重さは大人の男性で片側7~8kg、女性で6kg~7kg。ボーリングの球くらいの重さと言われています。だから太ももの上に腕を落とすとかなり痛い・・・はずなんですが、実はこの「落とす」というのが難しいんですね。なぜかというと、無意識に腕に力が入って、落下の衝撃をやわらげようとしてしまうからです。

無意識に力が入る現象を「反射」といいます。

6~8kgもある腕を本当に「落とす」と痛い。ほとんどの人はそれが経験から予測できるので、無意識に力が入ってしまうのです。そこで問題になるのが「恐怖心」です。

腕を本当に「落とす」ためには、腕の重みを知り、痛みがどの程度なのかを知り、「怖い」という気持ちを取り去る必要があるのです。そのためには重み、痛みを体感し、無意識の「反射」がなくなるまで行動を繰り返す必要があります。モーラー奏法では、この「重・痛い」ほどの腕の重みをドラム演奏に使います。

腕の重みを本当に使うことができれば、腕力で頑張るよりも大きな音が、きれいに、楽に出せます。

「怖さ」の正体

筋肉は衝撃を予測すると、意識とは関係なしにすぐに「縮む」方向に働こうとします。 筋肉が縮めば「防御」の態勢、伸びた状態は「無防備」というわけです。

腕を落とす局面では、筋肉自体が「伸びようとする動き」を拒んで勝手に反応し、力が入ってしまいます(伸張反射)。これは人間の「防衛本能」で、これこそが怖さの正体と考えられます。怖さを取り除くには痛みを経験し、痛みの程度を知る必要がありますが、レッスンでは痛みに頼らず、即効性のある面白い方法で脱力を覚えてもらっています。

重みを抑える

「重み」を使うには脱力が必要です。

「力を抜く」
⇒抜けば抜くほど、重みが生きる
⇒抜けば抜くほど、音が大きくなる

というロジックになります。反対に

「力を入れる」
⇒入れれば入れるほど、重みが抑えられる
⇒入れれば入れるほど、音は小さくなる

  • 力を抜くほど、大きな音
  • 力を入れるほど、小さな音

モーラー奏法では、力と音量の関係はこのようになります。

力を入れるといっても、腕の重さを支える力、日常で無意識に使っている筋力で十分。筋トレは必要ありません。

繰り返しになりますが、無意識に入っている力を自覚し、それを抜く練習が大切になります。