身体は楽なのに「苦しい」・・・その真意は?

ある生徒さんにフットワークのレッスンをしていたときのこと。ペダルの動きに足がぴったり同調して、お腹の力も抜け、踏み込みの衝撃をほとんど感じない理想的な状態になった瞬間がありました。

「今いい感じです、できてますよ!ラクでしょう?」

ところが、返ってきた答えは、、

「いえ、苦しいです」。

あれーっ、そんなはずないでしょ?身体は間違いなくラクなはず。音もしっかり出ているし、、どのへんが苦しいの?

「普段の自分と違うのが苦しいんです(笑)」

あー、なるほど。そういう意味の「苦しい」もあるんだなと、2人で大笑いです。

そういう僕も12年前、力を込める音を使うクセ全開で腱鞘炎になりかけて、それをきっかけに奏法を変えたのでした。当時は力を込めるのを気持ち良いと感じていたので、気持ちはよくわかります・・・。

「タイミングを合わせるのにものすごく集中しないといけなくて、それが苦しいんです」

確かに、慣れない筋肉を使うには集中力が必要です。でもご本人はずっと笑っています。体験したことがない体の感覚が可笑しく感じられたんでしょう、もう笑うしかないと言う感じ・・・。

レッスンではこんな不思議な笑いがよく起こります。泣き笑いならぬ、びっくり笑い(?)

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力を抜くほど大きな音が出る

モーラー奏法を初めて習う人は、これまでとの身体の感覚の違いに驚かれます。

特に初回レッスンでは肩〜腕の動きを誘導して新しいフォームを体験してもらうのですが、力を込めていないのにも関わらず大きな音が出るので本当に驚かれます。

「こんなにラクでいいの!?」

という感じですね。

今までは大きな音を出すために力を込めていたのが、力を抜けば抜くほど大きな音が出るという真逆の状態になるのです。これは最初は「違和感」でしかありません。僕もK’s musicで習った時は相当時間がかかりました。

自分の身体の状態ではなく、出ている音で判断する。言いかえると

「主観的な自分の状態よりも、客観的な成果にフォーカスする」

という姿勢が必要になります。これは音の聞き方、アンサンブルにおいても大切なポイントになるでしょう。

今の奏法に納得できない人、クリアしたい課題がある人は、ぜひ一度レッスンにいらしてみてください。きっと今のやり方の延長線上にはない、新しい感覚をお伝えできると思います。

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モーラー奏法は自然に身につくか?

3歳くらいまでの子供に遊びでスティックを振らせると、だいたい腕全体を使ったストローク、モーラー奏法で言うところの「フルストローク」になります。(写真は昔、長女が1歳くらいの頃のもの)

モーラー奏法は元々、戦場で力を節約しながら大きな音を出すための叩き方でした。だから、力のない子供が全身を使ってスティックを振る様子というのは、モーラー奏法の最高のお手本なんですね。

では、大人も子供の真似をすればモーラー奏法が使えるようになるのでしょうか?

結論を言えば・・・NO。難しいでしょう。

なぜ?

大人はいろいろ考えてしまうし、動きの「クセ」を身に付けてしまっているからです。

遊びに夢中になっている子供は、スティックを振ること、音を出すことだけに集中しています。この集中力は、小さい子供に等しく与えられた特別な能力ですね。

これが大人になるとどうなるか。「上手くやってやろう」「お手本通りに」「正しくやらなければ」「あいつには負けたくない!」などなど雑念だらけ・・・。余計な思考が、身体の動きを不自然にしてしまうのです。

極論に思われるかもしれませんが、大人になっても雑念ゼロで、身体の感覚に100%従って動くことが出来る人って本当に少ないと思います。(それができたら肩こりも腰痛もなくなるはず!)

だからといって、子供のように無心であればOKというわけでもありません。子供の動きは完璧かもしれませんが、そこに「目的」を持たせるには思考が必要です。

「明確な目的を持ちつつ、雑念をなくす」

この相反することを両立するには、やはり地道な練習あるのみですね。